水曜日, 7月 15, 2009

北海道旅行2009 その9 - 礼文島8時間コース


 今回の北海道旅行終盤の目標は礼文島にいくつかある徒歩観光コースの中でもっとも過酷なコース、「愛とロマンの8時間コース」の制覇。
 北のスコトン岬から断崖絶壁が続く島の西側海岸線を通って、島の南部を走る礼文林道まで続く約30キロの徒歩コースです。このコースにチャレンジするために、北海道に来てから毎日天気予報をチェックしてもっとも天気の良い日を探っていたのですが、今週の宗谷地方の天気予報はずーっと曇りか雨の予報(涙)。
仕方がないので曇りだけど少なくとも雨は降らない14日を狙って、稚内にやってきました。
 本来なら礼文島内で連泊すべきなのだろうけど、いい宿が見つからない。島に行ってわかったのですが、この日はたまたま18団体が礼文島入りしていて、かなり混んでたみたいです。しかたがないので稚内のフェリーターミナルの近くに宿を取り、最初のフェリー便で礼文島に行って、最後のフェリー便で戻ってくるプランを立ててみました。
 こんな感じです。
 稚内港6:20発→フェリー→香深港8:15着→タクシー→香深井礼文林道入り口→8時間コース→スコトン16:14発→バス→香深港17:16着、17:25発→フェリー→稚内港19:20着
 このプランは8時間コースを逆方向の南から北に向かうコースで、ゴールが礼文島最北端・スコトン岬ということになります。また8時間コースを7時間半程度で歩く必要がありちょっときついのですが、礼文島にある「南の4時間コース」というのを私は2時間くらいで歩けてるので、たぶん大丈夫だろうとこのプランを決めました。

 当日の朝、5時半に起床、天気はやっぱり曇り。フェリータミナルで飲料水やおにぎりを買い込み、いざ礼文島へ。船は非常に混んでて出遅れた私は船室にスペースを確保できず、屋外のベンチに座ってたのですが、気温は15度程度、さすがに寒くなってきました。
 礼文島に到着してタクシーを捕まえて礼文林道入り口に着いたのは8:40頃。下船でも出遅れてちょっと手間取ってしまいました。礼文島の天気も曇り、丘の上は霧がかかっててかなり不安な天気です。
 でもせっかくきたので8時間コースへ出発!


 まず最初に島の東岸・香深井の集落から西岸の有遠内(ウエンナイ)というところへ進みます。途中で島の中央に連なっている100メートルから200メートルくらい高さの山地を突破しなければなりません。
 最初は元気なのでぐんぐんと登っていきますが、峠にさしかかるとやっぱり霧に包まれます。しかも風が西から東に吹いていて、西側は霧であふれていてそれが風で東側にも流れてきているようです。西岸は急勾配を下るのですが、足場が悪くってスピードが出ません。そんなわけで約4キロを1時間かけて有遠内に到着。ここには数件の集落があったのですが、かなりビックリしました。だって、ここにくる道は今の道だけです。自動車なんか走れません。集落の中にも道なんかありません。つまり、リアルに「陸の孤島」です!
 でも港はちゃんと整備されているし、途中で浄水施設もあった。集落内には食堂もある。きっとここの人たちは船でなんでも運んでるに違いないです。


 有遠内の集落を過ぎると、道が無くなり、浜辺へ続きます。どうやら浜辺を歩けということみたいで、進んでいくと、急に岩が多くなってとても普通に歩けるようなところではなくなってしまいました。
 しばらく躊躇していると反対側から2人連れのハイカーが岩を乗り越えながらやってきます。で、聞いてみるとこの海岸を岩を乗り越えながらしばらく進むと、右へつづく道があるとのことです。このコースって海がシケると通れないそうです。


 右手の海岸線は100メートル以上の断崖絶壁が連なっていて、落石があったら絶対死にます。石が落ちてこないことを祈りながら、ときより両手で岩をよじ上りながら進んでいきます。とんでもないところにきてしまいました(苦笑)


 悪戦苦闘を30分くらい繰り返していると、やがて入り江と砂浜にでました。しかし、砂浜は狭く、波は荒い。波の合間をねらって一気に砂浜を越えていかないと、砂浜が波に沈んでしまう。こんなところでアクションゲームをやるはめになるとは思いませんでしたよ。


 で、やっと右手に道が現れたのですが、現在の時刻は10:20、有遠内からここまで1キロあまりに40分もかかってしまいました。しかも、どうやらまた急勾配を登らなければならないらしい。写真の左側の斜面を登っていきます。道にはロープが張ってあったのですが、ロープは谷側でなくって山側にある。つまり、転落防止用じゃなくって、このロープをつかんで登れということです。両手両足を総動員してよじ上りようやく上に着いたときには、シャツは汗でびしょ濡れ。気温20度未満なのにめちゃめちゃ暑いです。
 崖の上はやはり霧の中、左手は断崖絶壁が続く尾根道です。霧のせいであまり下が見えないのですが、それでも足がすくむようなかなり怖い風景です。晴れていたら、さぞかしすばらしくて恐ろしい光景だったでしょう。さすがにこの高さを登ったので息が切れたし暑いのでちょっと休憩をとってから出発。まだでも足も体力も余裕があります。息さえ整えばどんどんあるいて行けそうです。


 やがて道は森の中に入り、森を抜けると高原の草原(というか茂み)が広がるところをずーっと進んでいきます。付近にはさまざまな花が咲いていて、北海道の花・はまなすやすずらんも咲いてますが、高山植物らしきものも沢山咲いてます。霧のせいで景色はだめですが、まあ、花が見れただけでも良いかと思いながらどんどん進んでいきます。次のポイントは澄海岬(すかい岬)、有遠内から澄海岬は約9キロくらいです。予定ではここに12:30に着いて昼を食べるつもりだったのですが、ちょっと遅れそうなのでペースをあげて歩きます。やがて左に何かの中継所のようなアンテナが現れ、そこから先は道幅が広がって車のタイヤのあとが続きます。そしてだらだらと下りが続くのですが、道が雨水に浸食されていて、深い溝に成っているところがいくつかあり、ちょっと歩きにくくなってきました。


 澄海岬到着は13時頃、予定よりもだいぶ遅れています。しかも足にかなりダメージが入ってきてちょっとつらくなってきました。食事休憩でおにぎりを食べ、近くの売店でカニ汁を食べたりして休憩し、13:20に出発。


 8時間コースを逆に進んでいるので、道がわかりにくいです。この神社の道はじつは8時間コースだったりします。反対側から人が来たのでわかりましたが、ちょっと迷いそうですね。


 また急な上り坂をのぼってこんな高いところまで登ってきました。登ると息が上がってしばし休憩。


 しかも登り終えたらすぐに下る。くだりは足場が悪くってペースが落ちるので、非常に時間がかかる。でもあんまりゆっくりやっているとバスに間に合わなくなるので、次のポイント・ゴロタ岬到着14:40という目標を立ててがんばって歩きます。


 道は集落を過ぎて、砂浜沿いに進みます。砂浜はある地点から急に丸い石がころがる石の海岸に変わりました。ここら辺はたぶんゴロタ浜というところでしょう。


 浜が終わると、またのぼり階段が登場。もうかなりへばっているので休み休み登ります。せっかく乾いた服はまた汗でびしょ濡れ。


 ゴロタ岬到着は15時頃。目標を20分オーバーし、しかもバスの時間まで1時間15分くらい。
 こりゃもうだめかと思ったところに反対側から2人連れがきました。
 「スコトン岬まで1時間くらいでいけますか?」って訪ねたら「下り道だからたぶん1時間くらいかもね」との返答。勇気が出てきました。
 しばらく下り坂を下りていくと、舗装された道路に出て、ときより観光バスが追い抜いていきます。残り2.5キロで残り時間は1時間、ここから先は車道なので急勾配や悪路はないでしょう。これなら余裕で間に合いそうです。やがて進むと見覚えのある風景がひろがってきました。以前に自転車でスコトンへ来たことがあるので、覚えてます。ゴールはもう目の前。


 15:45、スコトン集落到着、ここがバス停です。なんとか間に合いましたが、まだゴールのスコトン岬はちょっと先。5分くらいで岬まで行けるので、ゴールへ向かいましょう。


 ここがゴールのスコトン岬。目の前にあるのはトドが住んでいるトド島。
 もうへとへとで、しかも汗びっしょり。売店で昆布アイスを買って味わいました。おいしかったのですが、でもこれが大失敗。

 16:05、バス停に戻ってきて無事にバスにのり帰路につきます。バスは結構人が乗ってきました。
 到着できた安堵感でウトウトしながら香深港に戻ってきたのですが、異変が発生。
 もともと温度が低い上に長袖とはいえ上からなにも羽織ってない。その上汗に濡れてアイスまで食べててウトウトしてるから体温が下がりすぎたみたいで、ガタガタ震えだしてしまいました。
 潤える手でチケットを渡してなんとか船に乗り込み、あったかいコーヒーを飲んでなんとか復活しましたが、疲れて衰弱していたみたいで、この日は残りずーっと寒気を感じながら過ごすはめになりました。一晩寝たらちゃんと復活したからご安心を。
 まあ、なにはともあれ無事に帰ってこれてやれやれです。
 今回の教訓。
 ・礼文島は晴れの日に限る。天気に妥協するな。
 ・8時間コースを8時間で歩くのには無理がある。礼文島で連泊すべき。
 ・荷物になってもちゃんと羽織るものを持ってくること。
 ・コースを逆にすすむと看板が適切な場所になくって道に迷う。
 いやー無事に帰れてよかったけど、あぶなかったですねえ(苦笑)。

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