金曜日, 8月 07, 2009

18きっぷの旅 その5


 昨日は京都を出発して、加古川線を踏破し、姫路から津山まで姫新線に乗ってきて津山泊でした。
 今日は津山を出発して、姫新線の残り区間と芸備線の踏破を目指します。
 津山で泊まったホテルは目の前が津山城。せっかくだから城に行ってきました。
 津山城は本能寺で信長とともに戦死した森蘭丸の弟・森忠政が築城したお城で、鶴山という小高い丘を三層の石垣で囲んで、三の丸・二の丸・本丸とし、上には装飾性を排した5層の天守閣や櫓で取り囲んだ実戦的な城だったそうです。
 森が美作国に転封になったときに、地域の豪族を威圧する目的でこういう作りにしたそうです。
 でも残念なことに明治になったときに建物はほとんど取り壊してしまったそうで、門と石垣以外には最近になって再建された櫓が本丸に残っているだけです。

 ですが、本丸からの景色はこのとおり、すばらしい。こうやって見回してみると、やっぱり津山の周辺は非常に平たくて高い山があまりなく、盆地という感じはしません。古代の人はこういう風景をみて、この地域を美作国という一つの国に定義したと思います。飛騨とか甲斐なんかもこれと同じ感覚になります。もっとも、あの二国は囲んでいる山が険しいという違いがありますが。

 10時過ぎに津山駅を出発。いつもよりだいぶ遅い出発ですが、これには理由があります。これから先の姫新線津山-新見間と芸備線新見-備後落合-三次間は、とんでもない閑散路線でして、ここを日中に通り抜けることができるタイミングは1日1回だけなんです。そのタイミングを狙うので、こういう時間になります。

 津山からしばらくは美作らしいなだらかな風景が続きますが、1時間半ほどかけて新見が近づいてくると、風景は一変して渓谷が深くなります。ここらへんは備中国に属していて、新見の周辺はカルスト台地だから浸食が深いようです。
 このあたりでは崖のすぐ下を通ることが多いのですが、そういうところは制限速度15キロに設定されていて、古いトンネルも多いのですが、そういう所では10キロくらいまで速度を落として運転しています。これってたぶん、JR西日本が保守費をケチってて、落石や崩落があっても運転士がそれを見つけて止まるための措置だと思います。
 でもこれってちょっと変ですよねえ。道路だったら落石が危ないからって制限速度を15キロにしたりしませんよねえ。ちゃんと落石に対する対策をとるのが普通ですよねえ。まあ、これもローカル線存続のためには仕方のないことなのかもしれませんが、少なくとも十数年前に芸備線に乗ったときには急行が運転されていて、ちゃんとそれなりのスピードを出してたと思うんですがねえ。
 でも今日の場合は、この措置が幸運を呼び込みました。なんと途中で渓谷を抜けたところの民家の横の線路の上に一輪車が放置されてました。運転士さんは徐行してたので特に危険もなく、警笛を連打してから停車し、たまたま乗っていた保線の人たちが一輪車を線路からどけて無事に出発。うーん、こういう危険もあり得るってことか。

 新見の駅につくと、回りは急な山に囲まれていて、とても窮屈な谷の間とう感じです。駅の裏にいきなり急な山があり、駅前の高梁川を越えると、すぐに山が迫っています。でもここは交通の要衝で、陰陽連絡線の中では唯一電化されている伯備線が通っているため、岡山と米子・松江方面を結ぶ特急やぐもが毎時間到着します。
 ここで、芸備線に乗り換えですが、待ち時間はちょうど1時間。昼時なので駅前の和食屋さんで食事して備後落合を目指して出発。

 新見を出発すると、渓谷を通り抜けますが、広島県備後地方に入ると、普通の山間に戻ります。カルスト台地なのは新見の周辺だけなんでしょうかねえ。

 備後落合が近づくと急勾配の下り線が続き、崖沿いを走ることが多くなります。それでまた徐行。とんでもなく遅い。

 備後落合に着いたのは14時過ぎ。ここで、この列車を含めて3台の列車が出会います。一つはおろちループの横の急傾斜を三段スイッチバックで登るので有名な木次線の出雲横田行き。もう一本がこれから乗る芸備線三次行。そしてもう一本は今乗ってきた道を折り返す芸備線新見方面行きです。どの区間も一日3本くらいの超閑散区間なので、これだけの列車が出くわすタイミングは一日一回くらいなのかもしれません。
 実は、ここに来たのは2回目で、前回は十数年前だったのですが、その時は木次線で三段スイッチバックを越えて、芸備線の急行で広島方面に向かい、途中の駅で降りて毛利元就の居城だった郡山城を見てからバスで広島へ抜けたました。で、その時は木次線がすごい深い谷を通ってこの駅に入ってきたので、とんでもない山奥にある駅だと思ってました。
 でも、今回、芸備線の新見方面から来てみて印象が変わりました。こっち側は傾斜は厳しいですが、それほど深い谷ということもなく、駅につく直前まで田んぼが広がっているところを走ってきたので、まわりにはそれなりに人が住んでいるということがわかります。もちろん、それでもこの駅を使う人は非常に少ないでしょうけどね。

 さて、三次行に乗り込みましたがちょっと困ったことがあります。新見からずっと一緒に乗ってきた四国のおじさんたちが酒盛りを始めてしまって、酔っぱらったので、手元が怪しくなり、酒をこぼしまくる。4回も床を濡らしてその度に掃除してました。この辺で乗っている人はこのおじさんたちを含めて、みんな私と同じ列車に乗るのが目的の人たちばかりに見えますが、公共の場なのでもうちょっと節度を守ってほしいところです。

 三次からは三次ライナーで広島へ向かいます。ここからは広島市の周辺になるので、地域の足として結構多くの人が乗ってきます。さすがに三次あたりまでくると、山奥という感じはしません。逆に言うと風景はあまり面白くありません。
 広島到着17時半頃。今日は広島駅の近くの安い宿に宿泊。宿に着くと宿のおばさんはマツダスタジアムへ野球観戦しに行くことを前提に私に話しかけてくる。私はというと、実はそのとおり、この後は野球観戦です。

 今日は広島-阪神戦を観戦。私は昭和50年の広島初優勝以来のカープファンでもあるので、もちろんカープを応援していたのですが、今日はカープは全く打てない。0-4で阪神に敗北。
 今日はマツダスタジアムは一塁側は赤く、三塁側は黄色く染まってほぼ満員。二週間前に予約したのに内外野の自由席と阪神側しか空いていない状態だったので、内野自由席のチケットを購入していたのですが、空いている席を探すのにも苦労する状態でした。
 球場からの帰り、駅に向かう列から結構な数の人たちがホテルへと入っていきます。
 この辺のホテルや旅館はマツダスタジアム景気に沸いているようです。
 ここまでで使った18きっぷはこれで3日。残っているのはあと2日分ですが、明日明後日は18きっぷは使いません。
 旅はまだ折り返したところで、まだまだ続きます。

0 件のコメント: