金曜日, 6月 30, 2006

ターニングポイント


 久々にニュースネタです。./jpの記事より。
 ビル・ゲイツの2年の後の引退の発表でもいろいろと思うところがあったのですが、今回のWinFSの開発中止は、後の時代から振り返ったとき、マイクロソフト独占時代が終わりに向かうターニング・ポイントなのではないか。そう思えてなりません。
 流れが変わったという意味でのターニングポイントはもっと前にあったのかもしれませんが、今回は、第二次大戦のドイツ軍のスターリングラード降伏とか、日本軍のガダルカナル撤退、南北戦争での南軍のゲティスバーグでの敗北に近い事件という意味で、ターニングポイントという言葉を使います。
 なぜWinFSの開発中止がそれほどまで意味を持つように感じているのかというと、それは私がファイルシステムこそ、OSを差別化する最大の要素だと思っているからです。
 OSの差別化するポイントっていうのは、結局のところ大きな点では3つだと思う。タスク管理、ユーザーインターフェス、ファイル管理の3つです。ユーザーインターフェイスが一番わかりやすいてんではあるのですが、皮だけで本当の技術革新できない。OSの内部が変わって初めて皮の部分で新しい機能が実現できると思うのです。タスク管理は、革新性よりは堅実性が重要な部分で、ここは地道に努力していくしかない。
 そうすると残るのはファイル管理なのです。今、OSが革新的な機能を提供するとしたら、このファイル管理で新たなアイデアや技術革新が必須なのです。Unix陣営はSunを代表するようにこの部分でいろいろと新たな技術を投入しています。そしてUnix陣営はファイルシステムに関する共通的なアプローチを実装しているので、その技術をお互いに流用し合う事ができます。
 でもWindowsのファイルシステムはUnixとはかなり違います。固定的なドライブ名とか、ファイル名への制限の違いとか、さまざまな点でWindowsはUnixとは違うのです。それにMicrosoftは基本的にすべての機能を自社のテクノロジーで固めることで強さを発揮してきたので、他社にOSの中核ともいえるファイルシステムを明け渡すはずがありません。
 それなのに何年もの時間を費やした次期ファイルシステムであるはずのWinFSが無に帰したということは、Microsoftから次のファイルシステムはさらに何年もたたないと出てこないということを意味します。これは検索技術とファイルシステムの融合とか、大容量コンテンツの管理とか、これから予想されるニーズに何年もの間対応できないこと意味する訳です。これでただですむはずがありません。
 設立時から率いてきたリーダーを失い、このうえ何年間もの時間を失ったMicrosoftは、もはやこれまでのような前進を続けることはできないかもしれないと私は思うのです。これが大規模な撤退のスタートを意味する気がするのです。

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